デジタルマーケティングとは!?基礎知識を徹底解説します
企業や個人がマーケティングを実施し、業績を上げていくために役立つのがデジタルマーケティングと呼ばれるマーケティング手法です。
デジタルマーケティングとは、デジタルで得られるあらゆる種類のデータやSNS・ブログなどのデジタルメディアを活用したマーケティングのことです。
- メールマーケティング
- マーケティングオートメーション
- ビッグデータ
- IoT
- 顧客関係管理
- フィンテック
- デジタルサイネージ
- SNS
- ネット広告
- 動画
- Webサイト
- ブログ
- SEO(検索エンジン最適化)
これらの媒体や技術を用いて自社の商品やサービスを宣伝・広報します。具体的には次のような利用目的が挙げられます。なおすべての項目において、最終的な目的・目標は同じです。
- 販売率を上げるため
- ブランド認知度を向上させるため
- 新規顧客を開拓するため
- 顧客情報を集め、分析するため
効果測定をする際には、各SNSでの投稿に対する反応やモバイル端末でのアプリダウンロード数、Webサイトでの資料請求数などの指標を分析対象とします。これらはGoogleアナリティクスやサーチコンソール、キーワードプランナーなどさまざま解析ツールを用いて分析します。分析できる項目は、検索流入数や検索順位、広告出稿時のコストパフォーマンス、閲覧しているユーザー属性など多岐に渡ります。
これらの分析ができる分、目標設定や施策改善がしやすくなっています。一方でツールを扱いこなすうえでの専門的な知識の習得も必要になってきます。
※同じツールであっても、初心者でもすぐに扱いこなせる機能から、専門的な知識が必要な機能までさまざまです。
目次
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
Webマーケティングの場合はインターネットのみに焦点を当てますが、デジタルマーケティングの場合はインターネットだけでなくオフラインのビジネスとも関連づけて施策を実施します。
例えばデジタルマーケティングの一分野として存在する「ビッグデータ(膨大なデータの分析)」や「IoT(機械とインターネットの接続・提携)」などは、インターネットで得られた情報をもとに、オフラインのビジネス戦略を練ります。
このためインターネットだけのWebマーケティングよりもオフラインとの結びつきがあるデジタルマーケティングの方が、言葉の指す範囲が広くなっています。
デジタルマーケティングのチャネル
デジタルマーケティングのチャネルについて一挙解説します。チャネルとは新規顧客を集客するための媒体や経路のことを指します。
メールマーケティング
メールマーケティングとは、定期的に顧客にメールを送り、顧客とコミュニケーションを図るマーケティング手法のことです。メールマーケティングと一言に言えど、大きく分けて5種類あります。
・メールマガジン
企業側が好きなタイミングで、購読しているユーザーに一斉送信するメール
・休眠発掘メール
しばらくの間、購入や返信のない顧客に対して改めて挨拶をするメール
・ターゲティングメール(セグメントメール)
登録してくれている顧客を属性ごとに振り分け、配信コンテンツを変えるメール
・ステップメール・リターゲティングメール
顧客により特定のアクションが起こされた際に、一定の頻度で自動的に配信されるメール
ステップメール:資料請求やメールアドレス登録など
リターゲティングメール:既存会員がWebサイトにアクセスした際など
なお電子メールを用いてビジネスを行う際には「特定電子メール法」に触れないように注意をしましょう。
業者から不正にメールアドレスリストを購入することは法律により禁止されています。また同意のないユーザーに対して商業目的でメールを送信することも禁止されています。
さらに顧客に売り込みたいあまり、メールアドレスを解除できないように設定してしまうと、これも同様に法律違反となります。
SNS
SNSとは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(社会的なネットワークの構築を支援するサービス)の略称です。SNSの代表例としては、InstagramやTwitter、Facebookなどが挙げられます。SNSを用いてマーケティングを行うことをSNSマーケティングと呼びます。
SNSマーケティングでは、下記の施策が実施されます。
- 広告配信
- キャンペーン告知
- ユーザーとのコミュニケーション
- ユーザーにお役立ち情報や面白い話題などを発信
SNSを上手く活用すれば、消費者と密接な関係を築き上げられます。
ネット広告
ネット広告は、インターネット上に出稿される広告の総称です。ネット広告はテレビ広告などのマス広告と比べて、広告費用効果が高いと言われています。
これはネット広告を出稿する際には、「どんな人に向けて出稿するのか」「どんな媒体で、どんな時間に出稿するのか」などを細かく設定ができるためです。
このため不特定多数に向けるマス広告よりも、ピンポイントで狙いうちができ、マス広告に比べてユーザーに訴求が刺さりやすくなっているのです。
また広告の表示回数(インプレッション数)やクリック数、実際に成約・販売に至った成果数(コンバージョン数)、ユーザーが広告を見ていた時間などを精緻に分析できます。
こういった特徴により、ネット広告の広告費用効果は高いのです。
- ネット広告の出稿元媒体:Google広告やTwitter広告、Facebook広告など
- ネット広告の種類:バナー広告やメール広告、動画広告など
動画
スマートフォーンとパソコンが一般家庭に普及して以来、インターネットには無数の動画コンテンツが溢れかえっています。
雑誌や書籍、漫画などの売り上げが低迷していくなかで、ネットフリックスやAmazonプライムビデオといった動画コンテンツサービスが人気を博しています。このことを踏まえると消費者にとって動画は他のビジュアルコンテンツよりも価値があるものになっているのでしょう。
ある調査によると、オンラインマーケティングを手掛けている企業のうち、87%が自社製品のPRや採用、広報などを動画コンテンツ化し、発信しているとのことです。
無料の媒体で言えば、YouTubeやニコニコ動画などが一般消費者から人気を博しています。企業がこういったプラットフォームにて説得力に長けたコンテンツやユーザーの関心を惹きつけるコンテンツを投稿することで、自社サービスの認知度や好感度を上げられます。
このように動画コンテンツが普及し、一般消費者が動画コンテンツを好まれるようになり、そこにビジネスチャンネルが生まれたことは事実です。
ただし自社製品のPRを淡々と垂れ流すだけでは、ユーザーの関心は得られません。あくまでもユーザーは、自分にとって興味のある動画を見ているだけにすぎないためです。このため動画コンテンツを作る際には、「いかにユーザーに楽しんでもらえるか」「いかにユーザーに役立つ情報を届けるか」などを入念に検討する必要があります。
Webサイト(別名:ホームページ)
もっともスタンダードなチャネルの一つがWebサイトです。Webサイトは、SNSやネット広告が大々的に普及する前、インターネット黎明期から活発に利用されていました。
Webサイトには下記の種類があります。
コーポレートサイト
コーポレートサイトでは、企業の基本情報(住所や歴史など)や投資家向けに企業の業績情報、人材採用向けの採用情報を公開します。
例:https://webcircle.co.jp/
ランディングページ(LP)
商品やサービスの提案をし、ユーザーに申し込みをしてもらうことを目的としたページです。通常1枚だけのWebページで構成されており、商品の特徴や利益、ユーザーへの問いかけ、よくある質問などが掲載されます。ランディングページは「ユーザーが最初に訪れたページ」といった意味合いで使われることもあるため使い分けに注意が必要です。
例:http://lp-web.com/
オウンドメディア
「オウンドメディア=自社が所有しているメディア」という名の通り、各企業が持っているメディアの総称です。
サービスサイト(ブランドサイト・ECサイト)
コーポレートサイトのカテゴリのなかから、商品やサービスに関する情報だけを切り出して取り扱うのがサービスサイトやブランドサイトです。数多く展開する商品・サービスのなかから一商品・サービスに特化したサイトや、全商品をまんべんなく紹介・販売するサイトがあります。
例:https://sankoudesign.com/category/brandsite/
なおサービスサイトのことをブランドサイトやECサイトとも呼びます。またECサイトは自社所有のサイトだけでなく、Amazonや楽天などネットショップ(モール)に出店しているサイトも含みます。
リクルートサイト
新卒採用や中途採用、アルバイト・パート募集に特化したサイトです。
例:https://sankoudesign.com/category/recruit/
ブログ
お役立ち情報の発信に特化したサイトであり、目的は新規顧客の集客や商品・サービスの販売です。
例えばWebマーケティング会社が運営するブログでは、Webマーケティングで扱うツールの特徴や使い方、注意点などについて発信をします。
ひとえに「Webマーケティング」について発信するブログと言えど、Webマーケティングツールの紹介のみに特化したサイトもあれば、SEOやネット広告などその他のカテゴリについても幅広く取り扱うサイトもあります。
例:https://bazubu.com/category/wordpress
なおWebサイトを作り運営していくうえでは、HTMLやCSSといったプログラミング言語を取り扱える人材(プログラマー)が必要になってきます。またWebサイト内の文章を書ける人材(ライター)や、専門的に広告出稿が行える人材(広告運用者)なども必要です。
SEO
SEOとは検索エンジン最適化のことであり、各検索エンジン(GoogleやBingなど)でWebサイトの記事を検索結果の1ページ目にさせるために行うマーケティング施策を指します。
Webサイトは、ただ記事を書けば、書いた翌日からすぐにネットユーザーに認知され、多数のユーザーがサイトに訪れてくれるわけではありません。
自社サイトに流入してもらうためには、各検索エンジンへの対策やユーザーへの対策が必要になってきます。
Googleを具体例に上げましょう。Googleは『General Guidlines』と呼ばれるWebサイト運営者向けのマニュアルを公開しています。このマニュアルでは、「Googleが評価をするサイト・評価をしないサイト」「Googleが評価をするWeb記事・評価をしないWeb記事」などが網羅的にまとめられています。
Googleの検索エンジンで上位表示するうえでは、このマニュアルをどれだけ忠実に守れているかが重要になってきます。
SEOを行ううえでは、機械対策とユーザー対策が必要です。
機械対策では、「クローラー」と呼ばれる全世界のサイトを巡回する機械(AI)から高得点をもらうことを目的とします。
この対策の実例としては、次のようなものが挙げられます。
- クローラーが巡回しやすく、理解しやすいサイト設計にする
- 何について書かれてある記事かクローラーが識別できるように執筆する など
次はユーザーへの対策についてです。ユーザーへの対策で重要なことは「ユーザーに価値を提供し、迷惑をかけないこと」です。
ユーザーがWebサイトを訪れた際に、GoogleのAIはユーザーが各Webページに滞在した時間の長さやページから離脱するまでの時間の速さなどを計測し、それに基づいて各サイトや各記事を評価しているためです。
ユーザー対策の実例としては、次のようなものがあります。
- ユーザーを満足させるコンテンツを提供する
- ユーザーを不快に感じさせる要素を削る (過剰な広告配信は辞めるなど)
マーケティングオートメーション
これまではビジネスを行ううえでは、会社が営業マンを雇い、営業マンに新規顧客へのアプローチや既存顧客への提案・サポートを行ってもらうことが一般的でした。しかし機械の発達に伴い、人の代わりに顧客へとアプローチをしてくれる仕組みが登場しました。それがマーケティングオートメーションです。
マーケティングオートションとは、人手で処理していた雑務を機械に代行してもらい、業務の効率化を狙ったマーケティング手法・概念のことです。マーケティングオートションを実施するうえでは、マーケティングオートションツールが必須です。
このため厳密には両者の言葉の定義は違いますが、「マーケティングオートション=マーケティングオートションツール」と各言葉が同一に扱われる傾向にあります。
マーケティングオートションツールの市場規模は年々成長しており、2020年にはおよそ640億円に達する見込みです。その理由は、初期費用や維持費用がかかるものの、人件費などのコストを大幅に削減しつつ、従来よりも顧客に効果的なアプローチができるためです。
マーケティングオートメーションツールでは、次のようなことを機械が行ってくれます(各会社の提供プランによって変動)。
- 顧客リストを一元的に管理する
(情報を1カ所に集めて管理し、情報を効率的に収集できる状態にすること) - 定期的なメール送信により、顧客との継続的なコミュニケーションを図る
- ユーザーの行動分析
- 申し込みフォームなどの自動作成
- SNS投稿
- レポート作成
- SEO分析機能
- ランディングページの自動製作
- Webサイトの自動作成 など
このように集客や顧客管理・販売促進などの一部業務を機械が代わりにやってくれるのです。
「人手で行っていたものを自動化する」という非常に抽象的な言葉が示す通り、マーケティングオートメーションツールにはメールマーケティングで役立つ機能や事務作業を代行してくれる機能など、幅広い業務で役立つ機能が搭載されているのです。
マーケティングオートメーションツールを提供するSalesforce社が2015~2017年に7,000社以上に対して「顧客成功指標調査」を実施しました。その調査結果では、Salesforce社が提供するツール『Salesforce Essentials』を利用している企業は次のような成果が得られていることがわかりました。
- 有望なリードの増加率が32%UP
- 成約率が26%UP
- 顧客満足度が26%UP
上記は一例ですが、同ツールを導入することにより業務効率化や業務の質の向上を実現できた企業が他にも多数あります。
ここからは近年人気が高まっているこのマーケティングオートメーションツールについて深堀解説をします。
マーケティングオートメーションツールとその他ツールの違い
マーケティングオートメーションツール(MAツール)に似た概念として、顧客関係管理ツール(CRMツール)や営業支援システムツール(SFAツール)があります。これらの違いを抑えておくことにより、それぞれの定義についての混乱を防げますので、これらの違いについて解説します。
マーケティングオートメーションツールは、見込み客の管理や育成、マーケティングに関わる事務作業の効率化や向上を目的としたツールです。
顧客関係管理ツールは、顧客との関係を築き上げ、顧客満足度や顧客ロイヤリティ(顧客のファン度合い)の向上に特化したものです。見込み客の管理や顧客育成はマーケティングオートメーションツールにおいても同様の機能が使えますが、よりそれらに特化した機能を揃えています。
営業支援システムツールは、メールアドレスなどを獲得した顧客の育成が終わり、商談の提案をしたあとの営業活動のサポートに特化したものです。営業にかかる事務の効率化や成約率・販売率を向上させるために使われます。
概念としては上述した違いがあるものの、実は顧客関係管理や営業支援システムの機能も備えたマーケティングオートメーションツールが市場には多々あります。
したがってマーケティングオートメーションツールは、顧客獲得~アフターフォローまで、マーケティング業務全般に対応したツールであると捉えても構いません。また顧客関係管理や営業支援システムは、顧客維持や営業に特化したツールであると捉えても問題ないでしょう。
言葉の厳密な定義にとらわれすぎず、おおまかにこれらの言葉の定義を捉えてしまっても問題ありません。
マーケティングオートメーションツールの機能一覧
前の章で上述したもの
顧客関係管理ツールの機能一覧
- フォーム作成:キャンペーンや資料請求、新規登録などのフォームを作成する
- レスポンシブデザイン:各ツールがパソコンやスマートフォーンなどあらゆるデバイスで閲覧可能にする
- アンケート作成:簡易的なアンケートから本格的なリサーチまでの作成を可能にする
- 管理機能:各ツールで集計・分析したデータ(顧客属性や行動データ)を管理する
- メール配信・LINE配信・広告配信:分析して得られた顧客データをもとに、送信タイミングや送信ターゲットを柔軟に設定しつつ、さまざま種類のメールやLINE、広告配信をする
営業支援システムツールの機能一覧
- 顧客管理:顧客の社名や電話番号、担当者名、所在地、過去の商談履歴などを管理する
- 案件管理:アプローチ先企業や営業担当者、提案した商品やサービス、金額・日程などを管理する
- 商談管理:各商談の詳細なやりとりやポイントを管理する
- プロセス管理:営業マンのコール数やアポイント数、訪問数、提案商材数、受注率などの行動を管理する
- 売り上げ予測・予実管理:顧客別や商品別、サービス別に売り上げ予測を管理する
- スケジュール管理:各営業マンのスケジュールを管理する
- タスク管理:各営業マンが特定の日時に行うべきタスクを管理する
- アラート:予定を通知する
- 日報・週報:日報・週報の作成や共有を行う
- 見積書作成・ワークフロー:見積書を作成したり、業務内容を図式化したりする
- 分析・集計レポート:顧客データの分析や集計をし、レポートを作成する
それぞれのツールの利用順序
- MA&CRM(顧客獲得・顧客育成業務):リード獲得・リード育成
- SFA(セールス業務):アポ獲得・商談・成約
- CRM(アフターフォロー業務):メールなどでの関係構築
なお当然ながらこれらのツールを使わずとも、広告配信やSNS投稿、メール配信は可能です。これらのツールの一番の強みは、分析・集計したデータをもとに配信内容やタイミング、ターゲットを変更できる点です。
マーケティングオートメーションツールの種類
マーケティングオートメーションツールにはBtoB向けとBtoC向けがあります。それぞれの特徴の違いについて理解するうえでは、そもそもBtoBとBtoCの違いを抑える必要があります。
じマーケティングオートメーションツールと言えど、ツールに備えられている機能が異なるためです。
この章では、BtoBとBtoCの違いについて解説し、その後BtoB向けツールとBtoC向けツールの違いについて解説します。
BtoB(法人向けビジネス)とBtoC(一般消費者向けビジネス)の決定的な違い
検討期間
BtoBとBtoCでは、検討期間が大きく異なります。前者は検討期間が長く、後者は検討期間が短い傾向にあります。
例えばBtoBで顧客の追客を行う場合は、数回~数十回程度のアプローチが必要です。なぜならBtoB商材は金額が高く(数十万円~数百万円)、顧客の検討期間が長くなるためです。
一方でBtoCで顧客の追客を行う場合は、数回程度の追客で十分です。この場合は商品価格が安く(数百円~数千円)、そこまでアプローチをせずとも顧客が自身の都合のよいタイミングで購入をしてくれるためです。また追客をせずとも、ネット広告や検索エンジンから流入してきてそのまま即購入されることも多々あるためです。
このためBtoBとBtoCでは、検討期間が大きく異なるのです。
なおBtoCにおいても、金融商品や車、住宅・リフォーム、葬儀関連など商材が高額のものは検討期間が長くなります。
また例え低価格のBtoC商材であっても、顧客のエンゲージメント(企業への満足度や愛着度)を高めるために、数十回以上に渡って顧客とコミュニケーションをとりつづけることも効果的な戦略の一つです。
決裁
BtoBとBtoCでは、決裁までの仕組みが大きく異なります。
前者は決裁をするまでに上司に許可を得たり会議で可決を得たりする必要があります。このため最初に興味を抱いた担当者一人の力では決済ができません。複数人で該当商品やサービスについて調査・吟味をするなどして徹底的かつ客観的に判断が行われます。
一方で個人の売買の場合は、決裁者は通常一人です。商品価格が数十万円~数百万円(車や住宅など)と高くなれば、夫婦で話をする機会が増えます。しかし商品価格が数千円~数万円程度(雑貨品)であれば一人で自己判断をすることが圧倒的に多くなります。
このためBtoBとBtoCでは、決裁までの仕組みが大きく異なるのです。
なお高額のものであれど、ダイエットセミナーや投資で稼ぐ方法など情報商材系はプライバシー性が高いため、一人で判断されることが多くなるでしょう。
このように法人向けビジネスでは決裁者が多く、購買するまでの検討プロセスが複雑です。一般消費者向けビジネスでは、決済者が少なく、購買するまでの検討プロセスは簡潔です。
データ量
BtoBとBtoCでは、扱われる顧客データ量に雲泥の差があります。
法人向けビジネスでは、1日あたりの資料請求や新規顧客・既存顧客からの問い合わせ数などは多くても数十件程度にとどまるでしょう。一方で一般消費者向けビジネスでは顧客規模や商品単価にもよりますが、1日あたりの問い合わせ数や商品販売数などは数十件~数万件にまで及びます。また会員数もその分膨れ上がります、
このため所有する顧客データ総量が一般消費者向けビジネスの方が圧倒的に多く、法人向けビジネスの方が圧倒的に少なくなるのです。
チャネルの量
BtoBとBtoCでは、使われるチャネルの量がまったく異なります。
法人向けビジネスでは、一般消費者向けビジネスに比べてチャネル数が限られます。一般的に下記のようなものが使われています。
- Webサイト
- セミナー・ウェブ上でのセミナー
- メール
- リアルでの展示会や対面など
インターネット上で不特定多数の人に向けて発信し大量の認知数を得る戦略はとられません。自社に関心がある少数の人に向けて密度の濃い情報を発信し、少数で濃度の高い認知を得る戦略がとられているのです。
一方で一般消費者向けビジネスでは、企業が消費者とコミュニケーションを図るうえで多様なチャネルがあります。具体的には次のようなものが挙げられます。
- メール
- SNS
- LINE
- DM
- Webサイト・ECサイト
- ネット広告
インターネット上で不特定多数の人に向けて情報発信をし、大量の認知数を得る戦略です。例えば育児で困っている大勢の人に向けて役立つ情報を提供したりします。こういった情報発信によりマスへのアプローチを試みるのです。
一方でお問い合わせや会員登録をしてくれた人に対しては、法人向けビジネスと同様に、綿密なコミュニケーションを図ります。
BtoCでは、多くのチャネルを並行活用した戦略こと「クロスメディア戦略」が実施されることが一般的です。クロスメディア戦略では、各メディアの利点を生かし、組み合わせ、相乗効果を狙います。
具体的にはテレビCMで商品やサービスの宣伝を行い消費者の認知を促したり、Webサイトで詳細な情報を提供し店頭での購入を促したりします。
マーケティングオートメーションツールの選び方(BtoBとBtoC)
マーケティングオートメーションツールを選択する際には、自社顧客の特徴にあったツールを選択することが大切です。
BtoCでは、膨大なデータ量に耐えられたり、複数のシナリオを組めたりするもの(顧客属性ごとにメール配信内容を変えられること)を選ぶ必要があります。また多用のチャネルに対応できることも大切です。
場合によっては、メールナーチャリング機能(定期的にメール配信をし、顧客との関係を良くする機能)は不要です。BtoBでは必要不可欠ですが、BtoCでは不要なケースもあります。自社がどういう戦略をとるのかに合わせて選択をしましょう。
BtoBでは、見込み顧客が少数であり検討期間が長いため、BtoCよりも顧客一人ひとりを大切にする必要があります。このためメールナーチャリング機能が必須です。
また顧客の状態を適切に把握し、顧客の状態に合わせてアプローチする必要性がBtoCよりも高くなっています。したがってBtoBでは分析・レポート機能がより重要です。
双方に必要な機能もあります。具体的には次のようなものが挙げられます。
- 操作性が高く、初心者でも扱いこなせること
- 自社にとって不要な機能が多すぎるものは選ばない
- トラブルや不明点を気軽に相談できるサポート体制であること
- 分析・レポート作成機能があり、分析の手間を省けること
- 分析結果から顧客の購買意欲を点数化できること(リードスコアリング機能)
- 業務効率化のため、見込み客情報を一元的に管理できること
ここまで述べたことは一般論であるため、BtoCでもBtoB向けの機能が役立つこともあります。例えばホワイトペーパー(お役立ち資料)やメールナーチャリング機能はBtoCでも十分に使える余地があります。
最終的には自社がどういうマーケティングを行いたいのかを基準に、必要な機能を備えたものを選択しましょう。
マーケティングオートメーションツールのメリット・デメリット
メリット
これからご紹介する利点により、案件・商談獲得数や商品・サービス販売数を上げられます。
集客できた見込み顧客を無駄にせずにすむ
マーケティングオートメーションツールでは、集客できた見込み顧客を無駄にせずにすみます。
集客によって獲得できた見込み客の情報をツール内で管理し、メールナーチャリングを自動化できるためです。
メールアドレスを獲得しメール配信ツールにメールアドレスをセットします。あとは機械がオートマティックに一定頻度で配信をしてくれ、クリック率の計測なども自動でしてくれるのです。
こういったツールがなかったころは、顧客への追客が上手く機能していませんでした。営業マンが顧客リストを手動で管理し、購買意欲が「高いと思われる」顧客を優先的にアプローチしていました。そして購買意欲が「低いと思われる」顧客については、後回しや放置がされていたのです。
しかし機械が変わりに追客してくれるようになったことにより、一度手に入れた顧客リストを無駄にすることなく維持・醸成することが可能になったのです。
なおメールチャーリングについては、同ツールを使わずとも「メール配信サービス」により同様のことが実施できます。マーケティングオートメーションツールの強みは、数ある機能の一機能としてメールマーケティングも実施できることです。
また「見込み客」とは、「自社の商品やサービスに対して関心の高い顧客」を指します。
見込み客の購買意欲を高められる
マーケティングオートメーションツールを用いることにより、見込み客の購買意欲を高められます。
登録しているユーザーにとって価値のある情報や興味深い情報を提供しつづけることにより、「この企業は信頼できる・役に立つ」と思ってもらえるためです。
具体的な手段としては、メルマガやステップメールといったメールを定期的に配信したり、SNSで投稿したりします。
こういったアプローチを続けることにより、見込み客の購買意欲を高められるのです。
見込み客に対して適切なタイミングでアプローチができる
マーケティングオートメーションツールを用いることにより、見込み客に対して適切なタイミングでアプローチできます。
マーケティングオートメーションツールにはリードスコアリング機能があり、顧客の行動履歴から顧客の検討状態を数値化できます。
これにより数値が高い顧客に対して、適切なタイミングでプロモーションを行えるのです。
一方で数値が低い顧客に対しては「営業は控え、温めることに注力する」といった選択をすることも可能です。
さまざまな業務が効率的になる
マーケティングオートメーションツールでは、事務作業から営業活動までさまざまな業務の効率化が可能です。
マーケティングオートメーションツールがなければ、顧客から収集したデータをエクセルに入力し、エクセルの複雑な計算式や条件設定を用いて、手作業でデータ分析・レポート作成を行う必要があります。
マーケティングオートメーションツールでは操作するうえで多少の専門知識が必要になるものの、エクセルほど高度な専門性が必要ありません。また機械が自動で顧客情報を収集し、レポート作成をしてくれるため、レポート作成時間を大幅に短縮できます。
トラブルや不明点がある際に、マーケティングオートメーションツール提供会社のサポートが受けられるため、そういったことに対処する時間も減らせます。さらにエクセル作成のために外注したり、新たな人材を雇ったりする必要がなくなることも強みです。
データ分析・レポート作成以外に、顧客の情報を一元的に管理できたり、お問い合わせフォームなどを自動作成できたりします。
営業活動については、先ほど紹介した通り、機械が自動的にメールでアプローチをしてくれるため、営業マンが足を使って顧客に合いに行く機会を大幅に減らせます。
デメリット
サポートはしてくれるが、すべて機械任せにはできない
マーケティングオートメーションツールはさまざまな機能があり、さまざま業務を代わりにこなしてくれます。しかしあくまでも日々の業務のサポートツールにすぎません。
例えばSNS投稿を代わりに行ってくれますが、投稿をするうえでの戦略や各投稿文は自社で練る必要があります。またWebサイト作成やLP作成をする際にも、販売ページの型やレイアウトは作成してくれますが、機械がオートマティックに自社製品の宣伝文を考えてはくれません。
このようにあくまでもサポートツールにとどまるのです。SNS運用やメールマーケティング運用、LP作成には依然として専門的な知識・ノウハウが必要です。
マーケティングオートメーションツールを導入する際には、自社の専門領域だけでの活用にとどめることが無難でしょう。
ツールによっては操作習得するまでに時間がかかる
機能が豊富なマーケティングオートメーションツールを活用する場合には、ツールの操作習得に時間がかかります。機能が少ないものであれど、新しいツールを使いこなすようになるためにはある程度の時間が必要です。
またマーケティングオートメーションツールを導入するとなると、運用体制を考えたり、組織体制を一部変更したりする必要があります。
他の業務で忙しいなかでマーケティングオートメーションツールを導入する際には、社員に多大な負荷がかかってしまう可能性があるので、時間に余裕があるときに導入しましょう。
導入した直後からすぐに業務が劇的に効率化されるわけでなく、むしろ導入当初は業務量が増えてしまう可能性があるのです。
コストがかかる
マーケティングオートメーションツールを導入するうえでは当然ながらコストがかかります。初期費用や月額費用の支払いが必要です。
初期費用:0円~数十万円
月額費用: 数千円~数万円
金額に非常にムラがあるのは、各社がさまざまなプランを提供しているためです。例えばマーケティングオートメーションツールの代表各であるSalesforce社は、中小企業向けに月額3,000円のプランを設けています。3,000円という低価格であれど、下記の機能を備えており、十分に役立つツールとなっています。
営業とカスタマーサービスを1つのアプリで
* ガイド付きのオンボーディングとセットアップ
* メール、会議の自動トラッキング
* リード、商談、アカウントの管理* カスタムダッシュボード、レポートの作成
* メール、電話、チャット、ソーシャルチャネルのすべてをサポート
* カスタマーセルフサービスで時間短縮
引用元:中小企業向け顧客管理(顧客関係管理)システム | セールスフォース・ドットコム
一方で細かいカスタマイズが可能なプランは月額18,000円。無制限でサポートが受けられ、全機能を利用できるプランは月額36,000円で提供しています(商品比較表より)。
このようにどの位のコストが必要かは、どの程度の機能やサポートを求めるのかによって変動します。
ツール選定を誤ると、損失が生じる
上述した通りマーケティングオートメーションツールにはさまざまな価格帯の製品が販売されていますが、「高額であればあるほど成果が出る」という単純なものではありません。
このため3,000円のプランで十分に自社のニーズを満たせるのにも関わらず、「いつか使うかもしれない」と高額なプランを契約してしまうと、余剰な機能を使いこなすことのないまま年月が経ってしまうおそれがあります。
ツール選定をする際には、自社が行いたいマーケティング戦略とのマッチングを重要視しましょう。
マーケティングオートメーションの導入~運用の流れ
マーケティングオートメーションツールを導入し、実際に運用を行うまでの一連の流れは以下の通りです。
- マーケティングオートメーションツール提供会社にヒアリングをしてもらい、自社の課題・ニーズを明確にしてもらう
- 自社が所持している見込み客のデータ整理を行う
- 「1」と「2」の情報をもとに、マーティングオートメーションツールで”自社にとって”必要な機能が何かを見極める
- マーケティングオートメーションツールを選定する
- マーケティングオートメーションツールベンダー(提供会社)と契約し、マーケティングオートメーションツールを導入する
マーケティングオートメーションツールを使った顧客獲得までの流れ
マーケティングオートメーションツールを使った顧客獲得までの流れは、大きく分けて下記4つのフェーズに分けられます。
- リードジェネレーション (新規獲得)
- リードナーチャリング (育成)
- リードクオリフィケーション (絞り込み)
- 商品やサービスの販売
リードジェネレーションでは、SEOや展示会、広告、セミナーなどを通じて見込み客の獲得をします。
その後のリードナーチャリングでは、メールを用いたり無料セミナーを開催したりして見込み客に有益な情報を提供し、育成をします。次のステップであるリードクオリフィケーションでは、行動分析や解析、リードの優先順位付けなどを行い、見込み客の絞り込みを行います。
これらの活動を通して最終的には、BtoCであれば商品販売メールを送信したり、BtoBであれば営業マンがアプローチをしたりします。
マーケティングオートメーションツール導入でよくある失敗と成功させるコツ
マーケティングオートメーションツールは非常に便利なツールであり、導入した数多くの企業が業務効率化に成功しています。一方で導入したものの成果を出せなかった企業も少なからず存在します。マーケティングオートメーションツール導入において失敗しやすいポイントと解決策についてご紹介します。
目的や目標を決定せずに導入した
マーケティングオートメーションツールは導入をすることにより、業務削減や営業の成果UPが見込めます。しかしそれは十分な前準備ができていた場合に限ります。マーケティングオートメーションツールを導入するうえでは、「何のために」「どのように」「どの位の業務削減が見込めそうなのか」「それは何故なのか」など事前にしっかりと分析しておく必要があります。
例えば次のような目的・目標設定が挙げられます。
・目的
メール配信を通してセミナー参加者の動員を増やしたい
⇒何のために
・課題
定期的にメール配信をしているものも、顧客の温度感がわからない。メール内容がこれでよいのかわからない
⇒具体的にどういう課題を抱えているのか
・導入理由
会員登録をしているユーザーの行動履歴(該当ユーザーが自社Webサイトで閲覧したページや資料請求の有無など)からユーザーを分析。
機械にレポート作成をしてもらい、ユーザーの関心度合いや現在のメール配信の課題点(クリック率や開封率など)を算出してもらう。その情報を用いて、顧客属性ごとに配信内容を変えたメール配信をしたり、メール文言の変更・検証・改善などのテストを繰り返したりする。
また関心度合いの低いユーザーは温め続け、関心度の高いユーザーには積極的にアプローチする。
⇒マーケティングオートメーションツールの”どの機能”を用いて、”どんなこと”をしてもらいたいのか。
他の企業が導入しているからといって急いで導入するのではなく、事前準備をしっかりと行っておくことが大切です。
機能を使いこなせていない
マーケティングオートメーションツールの機能性に惹かれたものの、多くの機能を使いこなせていないケースも少なからずあります。
解決策としては、マーケティングオートメーションツールの各機能がどういった機能なのかを導入前にリサーチをしましょう。
ツールを利用するうえでは遅かれ早かれ機能の理解が必須です。導入しきっていない段階で機能についてリサーチをするのが面倒くさいと感じる側面も大きいかと思います。しかし使わない機能は不要であり、その分ツール利用料を割高にする原因となります。
各社が提供するツールの機能一覧を見ていくなかで、その機能を使うことにより、具体的に自社の”現在の業務”がどのように変わるのかをじっくりと検討しましょう。
コンテンツが充実していない
先ほども述べた通り、マーケティングオートメーションツールはSNS投稿やメール配信、LPページの文言などまでは考えてくれません。コンテンツが充実しており、ある程度の反応がとれることを確認できた段階で、マーケティングオートメーションツールの導入を検討しましょう。
マーケティングオートメーションツールで業績が向上した事例は多々あるのは事実です。しかしそれはコンテンツや戦略において、しっかりとした土台が出来上がったうえでの+aの成果なのです。
まとめ
デジタルマーケティングとは、インターネット上で得られるあらゆる種類のデータやSNS・ブログなどのデジタルメディアを活用したマーケティングのことです。
メールやSNS、ブログ、動画、ネット広告などの媒体やビッグデータやマーケティングオートメーションなどのツールを活用して、自社が販売している商品やサービスの宣伝や広報を行います。より具体的には、下記のような利用目的が挙げられます。
- 販売率を上げるため
- ブランド認知度を向上させるため
- 新規顧客を開拓するため
- 顧客情報を集め、分析するため
なおSNSやメールマーケティングと、取り扱う媒体は異なりますが、最終的な目的・目標は同じとなっています。
このなかでも今注目度が高いのがマーケティングオートメーションツールです。マーケティングオートメーションツールでは、販売促進や顧客管理、集客などの一部業務を社員の代わりに行ってくれます。機械が行うことにより、作業効率が上がったり、業務の質が上がったりします。
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- 顧客リストを一元的に管理する
- 定期的なメール送信により、顧客との継続的なコミュニケーションを図る
- ユーザーの行動分析
- 申し込みフォームなどの自動作成
- SNS投稿
- レポート作成
- SEO分析機能
- ランディングページの自動製作
- Webサイトの自動作成 など
マーケティングオートメーションツールを導入する際には、自社がどのような目的で利用するのかなどを綿密に検討しましょう。それが失敗を防ぐための最善策であり、成功へ導くための最善策でもあるためです。
お知らせ
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